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【第1部】 第40話 大切な親友②

last update Last Updated: 2025-08-06 19:01:41

「龍は……すごく、安心するかな。

 傍にいてくれるだけでいい。いつも一緒にいるからそれが当たり前みたいな。

 ずっと家族として暮らしてるし、今さら恋愛対象とかには見れないっていうか、考えたことなかった」

「ふーん。でもさ、龍さんが誰かのものになったら嫌じゃない?

 急に流華のもとから居なくなったら、どうする?」

 貴子がニヤニヤと私を見つめてくる。

 龍が誰かのもの? いなくなる?

 そんなこと、考えたこともなかった。

 だって、龍はいつも私の傍にいて、これからもずっと一緒で……。

 ふと、龍の隣で知らない女性が微笑んでいる姿を想像してしまった。

 なんだか、すごーく気持ちが重たくなってきて、胃がムカムカしてくる。

「……すごく、気分悪い」

「それって、嫌ってことじゃん」

 貴子が嬉しそうに、してやったりという顔でニヤッと笑う。

 私はわけがわからず、眉を寄せ貴子を見つめ返す。

「流華は、鈍感だよねえ。他人の気持ちにも、自分の気持ちにも」

 なぜか勝ち誇ったような表情を向ける貴子に、悔しい気持ちが湧いてきた。

「それ、馬鹿にしてる?」

「ううん、別に」

 貴子がうーんと伸びをする。

 そして、爽やかな笑みを私に向けると、衝撃の言葉を発した。

「ね、私……龍さんのこと、好きなんだ」

 予想もしなかったとんでも発言に、一瞬時が止まった。

 私はいったんフリーズしたあと、再起動する。

「えっ! そうだったの!?

 そういえば貴子、龍によく絡んでたもんね」

 思い返せば、龍の話をするとき、貴子の瞳は輝いていたかもしれない。

 龍がいるとよく話しかけてたし。

 でも、好きだったなんて……まったくわからなかった。

 貴子が龍を好き。龍が貴子を好きなら、どうなる?

 チクッ。

 あれ? なんだか胸が……痛い?

「あれ、あれ? どうしたのかな、胸が痛い?」

「え! なんでわかるの」
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